折り紙
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日本の折り紙の起源については、あまり、はっきりしていません。しかし、手紙を折り畳んだり、紙で物を包むときに折ったりするようなことは古くからおこなわれていたのでしょう。それらが武家社会で発達して様式的に整えられ、実用的また礼法的な折り紙文化を生み出したようです.
今、一般に折り紙といって楽しまれているのは、いわゆる遊戯折り紙です。鶴やかぶとなど、具体的な物の形に見立てて折ることです。それらは、もともと、病気や災難を人間に代わって背負ってくれるように、という意味を持って折られていたと考えられています。これらが折られるようになるのは江戸時代に入った頃と思われます。大量生産されるようになった比較的安価な紙が庶民の間に普及し始めた頃と重なります。
さらに、江戸時代の人々が折り紙を楽しんでいる光景が浮世絵に描かれています。(浮世絵師、西川祐信 『絵本花の鏡』1748年刊)この頃から、折り紙が急速に広まっていったことがわかります。
日本では、明治時代には、折り紙は幼稚園や小学校などの教材にもなりました。特に幼稚園では、ドイツの教育者フレーベル(1782−1852)が19世紀の中ごろに創始した教育法を積極的に導入したのです。中でも、ヨーロッパの伝承折り紙と、それを基に発展させた幾何学的な模様折りが含まれていて、近代以降の日本の折り紙に多大な影響を与えました。
いまや、折り紙は、幼児から老人まで、日本だけでなく世界中で親しまれ、愛されています。折り紙は正しくさえ折れば、誰にでも簡単に折れます。しかも、その作品の象徴性は抜群です。その点で、折り紙は、最もシンプルな表現美を有する日本文化のひとつと言えるでしょう。古人からのこのすてきな贈り物を大切にして、私達もまた、折り紙を次の世代の子供達に伝えていきたい
ものです。