お花見

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 お花見と言うと、日本人は桜を連想します。花見とは桜を観賞し、遊び楽しむために公園などに出かけることを言います。日本では、毎年3月末から4月の始めにかけて、家族や仲間、会社の同僚が桜の木の下に敷物を敷いて座り、お酒を飲んだり、お弁当を食べたり、歌を歌ったりしながら楽しい一時を過ごす習慣があります。花見の名所では早くからの宴席を確保するために駆り出される先発隊の姿が見られます。

起源

 お花見の起源は2つあります。

 1つは貴族文化的なものです。奈良朝の貴族にとって花といえば梅でした。それが平安朝に入って梅に変わって桜の花見が貴族の重要な行事となりました。812年、嵯峨天皇が南殿で宴を催したのがお花見の最初の風習と言われています。

 もう1つの起源は農民文化的なものです。春になると里のものが飲食物を持って近くの丘や山に入りました。お花見は桜の咲き具合でその年の豊凶を占う農事であり、古くから行われていたと考えられています。花見は桃山時代には武家の間でも流行しました。豊臣秀吉の醍醐の花見(1598年)はその豪華さで最も有名です。その後、江戸時代に入ってから農耕儀礼から切り離され、貴族の公式行事から離脱し花見は庶民の行事となりました。江戸幕府は、都市計画の目的で大々的な桜の植樹を行いました。とりわけ徳川吉宗は都市と農村の接点である江戸の周辺部に植樹し、花見の名所が生まれました。花見が都市周辺部で開かれたことで花見の大衆化につながりました。

花見は日本にしかない?

 桜はアジア,欧州など世界の国々にあります。しかし日本のようなスタイルのお花見をする国は(ブラジルを除き)他国にはないと言われています。ブラジルで花見をしているのは日系人のグループです。お花見は日本独特の行事なのです。

花見は日本人の年中行事

 日本の学校や社会のシステムは4月に始まります。桜は我々のライフサイクルの上で節目になる4月に開花します。その桜を愛でる花見は、今では日本人にとっての大切な年中行事なのです。

日本の桜

 欧米人は桜と言うとサクランボのなる木を連想しますが、日本人は桜と言えば花(cherry blossom)を連想します。また日本には100余以上の栽培品種と30種以上の自然種があると言われています。室町から江戸にかけて多くの栽培品種が作られました。日本で一番多い桜といえば、栽培品種の「ソメイヨシノ」です。そしてソメイヨシノの開花日を桜の開花日と称しています。

 

参考: 酒と桜の民族 http://page.freett.com/saketosakura/index.htm

花見と桜 白幡洋三郎著 (PHP新書)

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