花札    

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任天堂というと何を思い浮かべるだろうか?テレビゲーム業界の大御所?日本人でも任天堂がカードゲーム制作会社から始まったことを知る人は少ない。任天堂は1889年、京都に花札屋として創業された。
 
 花札とは、文字通り‘花の札’である。
16世紀、ポルトガルの船員がカードゲームを持ち込み、”カルタ“と呼ばれる日本のカードゲームへと発展した。花札の起源である。ポルトガルのカードゲームは賭博にも用いられたため日本人の間でも人気を博した。1635年、鎖国政策の開始と共に、外国のカードゲームは禁止され、徳川幕府は賭博も禁止した。その後何十年にも渡り、法の規制を避けながら数々の新しいカードゲームが作られ、この流れの中で花札も誕生した。しかし、当初は上流階級の遊びであった。しだいに庶民にも広がったが、賭博に使用されることが多かったため18世紀後半禁じられた。19世紀後半、明治政府が禁止令を解くと、様々な種類の花札が各地で作られるようになった。

 西洋のトランプとは違い、花札には数字が記載されていない。その代わり、148枚のカードには松、梅、菊など12ヶ月折々の日本の花やその他の自然美が描かれ、短冊(短歌を書く紙)が描かれているものもある。紅葉に鹿、牡丹に蝶、花見を表す桜に幕などが描かれた美しいデザインの札もある。花札はトランプよりも小さいが厚みがあり、日本人は札同士を重ねるときにピシッと音を立てるのを楽しむ。遊び方は絵柄を組み合わせ、その組み合わせによって点を獲得していく。ルールや得点配分は様々な種類があり、各家庭によってもいろいろである。

たいてい遊び方の基本は、各プレーヤーが順番に手札とテーブルの上の場札を合わせ、その2枚をとりながら進めていく。松は松、梅は梅といった具合に12の月の絵柄同士を合わせていく。

 遊び方によっても異なるが、各札にはあらかじめ点数があり、最高点札は五光(五枚の光)、点数のないものはカス(ゴミ)と呼ばれる。最後にプレーヤーは各札の得点と役と呼ばれる札の組み合わせによる得点を合計する。
 ルールを覚えるのに時間はかかるかもしれないが、花札は友達と数時間遊ぶにはもってこいの遊びである。カードゲームをする気分にならないときは、花札を広げ、一枚一枚の札の意味を覚えていくだけでも楽しい。

1月 松 2月 梅 3月 桜
4月 藤 5月 菖蒲 6月 牡丹
7月 萩 8月 ススキ 9月 菊
10月 紅葉 11月 柳 12月 桐

参考文献・関連サイト:

「カルタ」 大牟田市立三池カルタ記念館 監修 (文溪堂)

「合せもの」 増川宏一 著 (法政大学出版局)

花札ゲーム http://www.nintendo.co.jp/n09/hana-kabu_games/index.html

任天堂資料庫 http://www.nintendo-inside.jp/special/n_archive/