Five-storey Pagodas     English
根付(ねつけ、ネツケ、根付け
   

根付とは?
 根付とは、巾着、煙草入れ、煙管入れ、薬または判を入れる印籠に付けた紐の先に結び付けられた留め具で、着物の帯に引っかけるものです。根付の語源は、根元の“根”と、結び付けるの“付ける”の2つを組合せた言葉です。
 根付は、大きさが約2インチくらいの小さなもので、その多くは彫刻され非常に緻密に装飾されています。根付は日本が本来の発祥地ですが、現在ではむしろ海外の方でよく知られており、高く評価されています。

歴史
 諸説ありますが、根付は14世紀頃に使用され始めました。初期の頃は、美術品ではなく、実用向きのものでした。大きな木工芸品の副産物として製作が始まりました。
 熟練工は主に仏像の彫刻に従事するなかで、根付師は木工品の残りの不用材料を利用して製作をしていました。又、象牙製の根付は17世紀に作られた弦楽器である大量の三味線の撥(バチ)を製作する際に派生する副産物として発展してきました。
 根付彫刻は18世紀の後半には隆盛を極めました。多くの熟練工は19世紀(江戸時代)を通じて優れた高度な技能を守りました。この時期における根付の題材や技法においては、中国からの影響があったことは明らかです。明治維新(1867〜)以降、我が国の社会的習慣の変化や服装の西洋化に伴い根付の実用的な利用は著しく消滅しました。

材質
 根付の材質は多岐にわたっていました。根付の彫刻に利用される最も一般的な材質は 「つげ」でしたが、他の材質としては黒柿、クワの木、紫檀、白檀、黒檀、花梨、樫、その他の輸入木材や象牙等も使用されました。









形状

 人工的な形状の中で、初期の根付は細長い木片で作られていました。通常“まんじゅう”と呼ばれた一枚の円形で平らな形状でした。根付は、着物の帯から提げられるもので、小さくて立体的であり、出っ張りの部分がないことです。そして、紐を通す2つの穴があります。根付は次第に精巧な形状に進化して、江戸時代を通して広く利用されるに至りました。
 18世紀後半辺りには、七福神、ダルマ、12宮、鬼、伝説的な人物、歴史的な行事、外国人等が彫刻のモデルにされました。19世紀の当初より江戸時代の終わりにかけては、動物、鳥、爬虫類の動物、野菜、果物、道具、日常的な生活の姿等が再現されました。ちなみに、現在の携帯電話のストラップの先に付いている色々なキャラクターは根付のコンセプトが採用されたものです。

ギャラリー
 二次元の絵画である美術に対して、根付は三次元の物体です。根付を見る人にはその込み入った複雑な細部やユーモアに溢れた部分を鑑賞することができます。オークションでは、競値が20数万ドルにも達する根付が出現することもあり、素人収集家は、できれば購入前に参考資料の精査、他の収集家や専門家に相談することが賢明です。また、根付偽作が増加するで、高級品へ投資する前には現状を熟知しなければなりません。

参考文献NHK美の壺 根付 2009
        根付を楽しむ 斎藤美州著 2009 日貿出版
        ウィキペディア 根付 

       山本之行氏のご厚意により、資料の開示と関連情報の提供を受けました。