銭湯     English
   

*写真のこの建物は何だと思いますか。
日本の東京にある公衆浴場で、銭湯といいます。銭湯というのは有料の風呂という意味で、商店街や住宅街にあり、入浴サービスを提供しています。一見、お寺か神社だと思ったかもしれません。実はそのことが、銭湯の起源と関係があるのです

*歴史
本には古代から禊(みそぎ)という考え方が広く知られていました。禊というのは海や川、温泉などの場所で、沐浴をして身体や精神を清めることです。神社で手や口をすすぐのもこの考えが元になっています。

6世紀、日本に仏教が伝来してから、寺院の境内に沐浴のための施設が建てられるようになりました。仏教では、沐浴をすると七病を除き七福を得ると言われています。そのため僧や信者が次第に民衆に施浴(無料で浴する場を施すこと)をするようになったのです。

その後、料金を取る風呂屋が日本各地に現れましたが、薪や水は入手困難だったため、温泉とは異なり、多くは蒸気や熱風の風呂だったようです。江戸時代(17〜19世紀中頃)には、特に都市部で銭湯がより身近になり、衛生的にも、社交的にも地域の住民にとって大切な場所になりました。

第2次世界大戦で多くの建物や家が壊され、その結果、内風呂が不足し、戦争が終わると、銭湯は常に混雑した状態でした。しかし、戦後の高度成長期に風呂付の家やアパートを持つ人がだんだんと増えてきました。全国浴場組合によると、銭湯は1968年の17,642軒をピークに減り続け、2010年4月現在、全国で3,848軒になりました。

*利用方法
1.昔ながらの銭湯の中には、入口のカウンターが高い壇になっていて番台といい、そこで料金を払うところもあります(例:2010年現在、東京では450円、広島では400円です)。

2.持ち物はバスタオル、ハンドタオル、せっけん、シャンプーなど普段お風呂に入る時に使う物です。また、これらはカウンターでも購入できます。

3.入口で靴を脱ぎ、下足箱に入れます。

4.ドアを入る時、どちらが男でどちらが女か確認しましょう。

5.銭湯は男女別に2つに分かれていて、それぞれ脱衣所と浴室があり、浴室にはカランと2つか3つの浴槽があります。浴室に入る前に、着ている物はすべて脱いでください。前を隠すのにハンドタオルを持っていけますが、浴槽の湯の中にタオルは入れないでください。

6.風呂に入る前にまず、お湯をかけて身体を洗いましょう。または、石鹸で身体を洗い、お湯でよくゆすいでください。石鹸で洗ったり、ゆすいだりするのは、必ず浴槽の外でします。その後、ゆっくりお風呂に入りましょう。最後に、脱衣所が濡れて滑りやすくならないよう、浴室で水気を拭っておいてください。



『日本小話』の30番「温泉」のページを参考にしてください。風呂の入り方の説明は似ている部分が多いです。

*温泉それとも、銭湯?
先ほど、風呂の入り方は温泉も銭湯も似ていると言いました。では、いったいどこがちがうのでしょうか。温泉にはミネラル成分が含まれていますが、銭湯は水道水や井戸水を使っているので、ミネラル成分は含まれていません。温泉は火山地帯に位置し、行楽地で楽しむものとされています。一方、銭湯で入浴することは、家の近くでの日常生活の一コマです。

最近、人々の需要にこたえ、さまざまな温泉や銭湯が生まれてきています。掘削技術の発達で、温泉の源泉を掘りあてられるようになり、繁華街でも、温泉やスーパー銭湯と呼ばれる、広い入浴施設を利用できるようになりました。そこには内風呂、露天風呂、サウナ、ジャグジー、マッサージ、レストランなどの各種サービスがあります。

日本人は古くから、入浴が病気を防ぐこと、癒し効果があることを知っていました。銭湯は壁面の絵画や建築といった貴重な文化財と共に、その伝統を守っていテキスト ボックス:  ます。また、人の集まる場所としても見直され、多くのイベントが企画されています。


もし、リラックスしたくて、手軽に地元の文化を経験したいなら、銭湯は絶対おすすめです。年配の人はよくお風呂に浸かって、「あ〜極楽、極楽。」とつぶやきます。あなたも日本で極楽を楽しんでみませんか。




参考文献:『NHK 知るを楽しむ 歴史に好奇心』

       2008年10月「あ〜極楽の銭湯史」町田忍 著NHK出版 発行

写真:3点とも明神湯(東京都大田区南雪谷)
    明神湯、大島氏の許可を得て、大田浴場連合会公式HPより転載