マンガは、今や日本の大事な文化産業のひとつと言っても過言ではありません。
外務省は、伝統文化・芸術に加え、近年世界的に若者の間で人気の高いマンガを文化外交の主要なツールとして活用しようと2007年に「国際漫画賞」を発足させました。以来、ポケモン、聖闘士星矢、セーラームーンと一緒に大きくなった海外のマンガ家たちが、次々に作品を応募しています。
2011年第4回国際漫画賞最優秀賞受賞作品は、”Si loin
et si proche”(『近くて遠い』)中国人作家が北京を舞台に描いた作品で、使用言語はフランス語、出版はベルギーです。優秀賞受賞作品は、”Face cachée”(『隠された顔』)。フランス人作家が、鎌倉を舞台に日本人ビジネスマンを描く作品で、フランスで出版されました。mangaはただの娯楽を超えて、言語や映画とも異なる広く世界に浸透するコミュニケーションのメデイアとなっているのです。
そんなmangaの歴史をみてみましょう。本来「滑稽な絵」という意味の漫画の起源は『鳥獣人物戯画』(平安時代)というのがもっぱらの定説です。江戸時代には、浮世絵作家、葛飾北斎も『北斎漫画』を描いている。
さらに幕末から明治にかけてヨーロッパの風刺漫画の影響を受けながら浮世絵作家たちが次々と作品を世に出し、大正、昭和初期の少年少女雑誌の連載漫画へとつながっていったのです。
第二次世界大戦後は、アメリカの漫画のヒーローものに影響を受けながらストーリー性の高い漫画小説とも言える分野へと成長していきます。 こうして徐々に漫画が出版界の稼ぎ頭へと変遷していきますが、テレビというメデイアの普及とともに漫画雑誌からテレビアニメへと少年少女の関心が移っていきます。日本製のアニメは海外へも進出し、各国で人気を得るようになりました。こうして、いつのまにか漫画がマンガへと、さらには、mangaへと進化していきました。
これからも、アニメブームとの相乗効果によりmangaはさらに変遷していくことが予想されます。
かつて1950年代には親たちが漫画を「悪書追放運動」の対象として退けようとしたことがありましたが、いまや、mangaに成長した漫画は、世代、国境を越えた立派な日本の文化となっています。
皆さんも、mangaで世界の人とつながってみませんか。
*参考図書
『マンガ世界戦略』 夏目房之介
『模倣される日本』 浜野保樹
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