「侍JAPAN」という言葉を耳にします。野球のワールドベースボールクラッシックやサッカーワールドカップなどで強い日本をアピールするためにこの言葉が使われています。しかしなぜ遠い昔の侍が今も日本人の心に影響を与えるのでしょうか。 しかし、260年間にわたる江戸時代に、武士道は武士道精神へと次第に洗練され、庶民の中にも、武士の生き方に影響を受ける者があらわれました。「武士の一言」といった言葉どおり、もし約束を破れば死を持って罪を償った壮烈な逸話や、赤穂浪士の主君への忠誠、敵討ちの逸話は、物語、浄瑠璃、歌舞伎、講談などを通して、町人や農民に伝えられました。又、 侍の子の勇気と忍耐を説いたお伽噺などは子供たちにも影響を与え、弱者、劣者、敗者に対する優しさと憐れみは武士の美徳としてとくに賞賛され、「花は桜木、人は武士」とうたわれるほどで、 武士は国民全体の美しい理想となりました。道徳的手本を武士が身を持って示し、武士階級の行動規範だった武士道は、庶民にも受け入れられて、やがて日本人全体の行動規範となっていったのです。 3・11の大津波の後に世界を感動させた日本人の行動・・・略奪をせず、壊れたスーパーやコンビニにきちんと並んで買い物の順番を待つ忍耐強さ、避難所でも弱者を優先し、譲り合い助け合う姿。被災者に寄り添うボランティアの人々・・・そういった日本人の行動の中に、武士道精神が今もなお生きていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
*参考文献 「武士道」講談社インターナショナル
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